AGRI EXPO出展中 次世代農業オンライン展示会

感動を与える製品をつくる

 ヒーローは“強くて、美しい”。そして私たちが窮地に陥った時は、救世主として必ず現れ、そこから救い出してくれる。そんな機械へと、強い想いで誕生したのが SAXES Knight(サクセス ナイト)だ。今年3月に発売され、6月からの出荷では昨年比3倍を超える出荷台数となった。コロナ禍の中、不透明な状況が続くが、生産現場の新しい力として期待が高まる。また今年は天候不順が続き、米の作柄が心配される。生産現場ではその力が強く求められることになりそうだ。ヒーロー見参となるか。SAXES Knight開発に、これまでにない新しい製品づくりを探る。

 ピアノブラックと呼ばれる光沢のある深い黒が印象的なSAXES Knight。無駄を削ぎ落とし、シンプルな外観が力強く、そして美しい。その佇まいは、チェスボードに並ぶナイトの駒に似て、それが名前の由来にもなっている。果たすべき使命は、品質を高め、生産者の利益向上に貢献すること。
それを実現するために、従来展開してきた光選別機ピカ選を一新。2.0t/hから2.3t/hへと処理能力をアップさせ、同時により高い選別能力と耐久力などを備え、SAXESの名を冠して生まれ変わった。

ぜひ使ってみたい、そう思える製品を目指す

 光選別機ピカ選が市場投入されたのは2009年。量から安全・安心へと米づくりが変わる中、時代の要請に応える機械として大きな支持を得たが、年月の流れとともに新たな力が求められるようになった。その中、2018年3月にSAXESシリーズが誕生。当時の調製機事業本部の責任者には「3年目に光選別機でもSAXESシリーズを開発し市場に出したい」との想いがあり、プロジェクトがスタートした。まずは乾燥機のSAXESを開発した時と同様、「全国40ヵ所以上をまわりながら、お客様の声をお聞きし、様々な課題を集め仕様や特徴をまとめていきました」。その中で、暖機運転の短縮やコンタミネーションへの対応、LEDの採用、選別性能・耐久性の更なるアップなどが開発テーマとして上り、「“これが欲しい、是非使ってみたい”と思っていただける製品」を目指した。

強くて美しいコンセプトを体現

 そのコンセプトに基づき開発が始まったが、美しいものをつくるというこだわりがあり、まず先行したのはデザイン。広報部によってコンセプトを体現する形が創られた。また従来は技術部門がデザインを行っていたが、「私たちがデザインすれば、それまでの延長でしかなく、あのようにビジュアル的な格好良さなどは実現できません」と当時技術本部で副本部長を務め、SAXES Knightの開発に携わった古屋慎一郎氏(現生産本部長)。感動できる製品を目指して、営業、技術、生産、広報が連携しながらアイデアを出し合うものづくりが進められていった。その中で共有されていたものは、“これまでとは違うものをつくるという意気込み”であり、従来の延長線上にはないものづくりだ。例えば機体の色を決めるとき、当初正面パネル全面が黒となるデザインは不評で、どちらかと言えば従来機を踏襲したような保守的なものに支持が集まったが、多数を排して今のデザインを採用した。「作業スペースに設置したときを考えると、ワクワク感があるのはこちらでした。強くて美しいものを目指しているのですから、守りに入るような機械にはしたくなかった」と当時の調製機事業本部の責任者。サタケの新しいものづくりが窺える。その理念は至る所に反映され、従来にない性能を生み出すことにも繋がっている。

サタケ 生産本部長
古屋 慎一郎

光源となる4色LED

新たに搭載したピエゾバルブ

8つの大きな特長

 「SAXES Knightは8つの特長があります」と古屋氏。超高速動作のピエゾバルブや白・赤・青・緑の4色LEDを採用し、同社独自の画像処理技術を開発。また運転状況のカラーLED表示、消耗部品の耐久力アップ、暖機運転の短縮や使いやすい操作画面などの利便性向上、コンタミに対応して昇降機下部の残留米を除去する新機能、エアーユニットの自動化などを実現した。「ピエゾバルブは以前使っていたソレノイドバルブに比べて1.7倍の速度で開閉ができ、良品の巻き添えを少なくして狙い撃ちができます。また4色のLEDを使い、青未熟、しらた、乳白、ヤケ米などが明確に見えるようになりました。さらに新たな画像処理技術を開発し良品と不良品が重なっている部分を分けることができるようになり、選別性能が向上しました。その他、暖機運転は5分になりました」。

想いが形になるに従って、気持ちが一つに

 古屋氏に開発で一番難しかった所を聞くと、複数のチームを束ねていくことだと答えてくれた。「全体のまとめは調製チームが行っていますが、ピエゾバルブなどの光学部は選別チームが、それらを動かす基板や画像処理は制御開発チームが担っています。これらが同じ方向を向かないとうまくいきません。それぞれ高い能力と豊かな個性を持ったプレイヤーを一つにまとめるのが私の仕事で、最も心掛けたところです」。開発が進み、想いが形になるに従って、気持ちが一つになっていった。「全ての要求に応えられるのかというドキドキ感はありましたが、みんなで新しいものをつくりあげていくワクワク感がありました」。また、複数の意志が混ざり合う中、完成間近で液晶パネルに表示される文字の大きさや、使用される文言をよりユーザーフレンドリーなものに変えるようなこともあった。

コロナ禍でのプロモーション戦略が功を奏す

 そしてギリギリまで製品の完成度が高められ、“感動を与える製品”として、ついに完成。2020年3月より発売を開始した。しかし世の中は新型コロナウイルスによって大きく変わってしまっていた。同機では製造において成形部品の調達に遅れが発生し、またプロモーション活動も大きく変更せざるを得なくなった。
「展示会が中止となり、営業活動も自粛。実演して体感してもらう機会を失いました。大規模生産者向けに北海道でも特別なプロモーションを考えていましたが、それも実現しませんでした」と話す調製機事業本部の責任者(当時)。

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SAXES-V 北海道キャンペーンCM動画

 

 その中で活路となったのがインターネット。WEBにプロモーション活動の舞台を移し、専用ホームページの展開やカタログのダウンロード、ユーチューブへのCM出稿、またWEB上の合同展示会アグリEXPOオンラインに出展するなど、積極的に認知度向上を図っていった。「危機に直面したからこその、大きなチャレンジができました」。
これまでにない製品を、これまでにない売り方で展開し、奏功。市場は高い評価で受け入れ、6月下旬の受注台数は約630台。従来機に比べ3倍の売れ行きとなり、年内目標は1000台を超えている。また併せて乾燥機の受注にも好影響を及ぼしている。

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SAXES Knight オンラインデモ動画

         

製品が成長し、常に感動してもらえるものを

 
      

 KnightはSAXESシリーズの名をより高めることとなり、「これからも期待に応え、またそれを超え、製品が成長し、常に感動してもらえるものを提供していきたい」と調製機事業本部の責任者(当時)は力を込めた。農業を取り巻く環境が不安定になっている。新型コロナによりECに注目が集まり、直接取り引きが増えている。また今年は天候不順が続き、米の品質が脅かされている。ヒーローはピンチに現れる。サクセスナイトの活躍に注目したい。

記事提供/ 月刊AMJ

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